Visiting the EON satellite program at the Institute for Advanced Study in Princeton

Blog No.123
Author: Donato Giovannelli

今どきの科学は、どんな種類のものでも学際的な性質を持っている。過去50年間の偉大な科学的成果はすべて共通の課題に取り組む大規模な学際的チームによって達成された。私にとって、これは、最近のエキサイティングな科学は、非常に多様な分野、一般的には大規模なチームが交わるところで行われることを意味する。私は将来、研究分野の境界は消えていくと固く信じている。それにもかかわらず、世界中の大学における研究の多くは、決められた枠の中で実施されている。私たちがよく知っている学術プログラムや研究機関の大部分(おそらく大多数)は、このように組織されており、部門も学部も1つの分野で作られている。この構造のため、多様な研究分野で相互に連携することがさらに困難になる。

私は地熱環境の微生物学に取り組んでいる微生物生態学者であり、長い間生物圏と地球圏の共同進化を研究している。私の仕事は本質的に学際的なものであり、毎日地質学者、地球化学者、海洋化学者などと交流する。それにもかかわらず、最近、私は学際的な科学の全く新しい形について知る機会があった。

昨年の夏、私はELSI Origin Network(EON)プログラムのもと、新しく博士研究員になることが決まった。来年の春からスタートするが、それまでの間、プリンストン高等研究所の教員でELSIの主任研究員であるPiet Hut教授が私をプリンストンのProgram in Interdisciplinary Studiesに招待してくれた。PietのProgram in Interdisciplinary Studies (研究所ではPIDSと呼ばれている)は、ELSIの3つのサテライトプログラムの1つであり、既存の分野を横断し、起源という共通の興味(物質の起源は何か?生命の起源は何か?意識の起源は何か?)に取り組んでいる。

私はこの3ヶ月間、週に1回このプログラムを訪れる幸運に恵まれた。毎回Pietを訪れ、様々な人々と学問の融合を見るのが楽しみになった。高等研究所は素晴らしい場所だ。雰囲気は心地よく友好的だが、静かで瞑想的でもある。周囲の森を散歩すると、いつも気持ちがすっきりする。また、おいしいランチ、早めの午後のティータイム、非公式の時間外プレゼンテーションなど、数多くの交流の機会がある。週に1度の訪問は、ラトガース大学の学生の群れと騒音から逃れられる、爽やかな憩いの時間である。

研究所を訪れている間、私は哲学者、コンピュータサイエンスを研究している数学者、社会科学者、神経生物学者、天体物理学者と昼食のテーブルで話をし、人工知能科学者、哲学者と一緒に黒板の前に座り、環境への意識、自覚、これらが他の分野に与える影響について話をすることができた。訪問するたびに新しい人に出会い、新しい専門知識が融合し、予期しない形で自分の考えや研究に対する挑戦あるいは刺激となった。 PIDSを訪問している時、私は、非常に多様な分野間でやりとりする最も難しい課題の1つは、共通の語彙の欠如であることに気付いた。 Pietはずっと前にこの問題を認識しており、PIDSでは午後にインタラクティブでインフォーマルな小規模プレゼンテーションが行われていた。このプログラムの訪問者は、その分野の基本概念を広いトピックで説明し、誰もが会話に参加できる。これにより相互連携が大幅に強化され、真の学際的な共同研究が可能になる。

高等研究所のPIDSプログラムを訪れることにより、自分の快適ゾーンを飛び出して、科学の幅広い分野やアプローチを受け入れることができた。それは私の研究分野の見解に深く影響し、研究の枠を広げることができた。数ヶ月間プリンストンでPietのプログラムを訪れた後、私はELSIに参加し、新しい研究を開始することを待ち望んでいる。私は、ELSIの学際的な特徴と協力的な雰囲気が、私の科学へのアプローチをさらに拡大し、研究に大きな影響を与えると確信している。


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IASでの学際的ディスカッション。 (写真提供Andrea Kane、プリンストン高等研究所)