2018年1月21日 (日)、東工大蔵前会館 くらまえホールにて、東京工業大学地球生命研究所(ELSI)と東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)による合同一般講演会「起源への問い」を開催しました。
本講演会は、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)研究拠点であるELSIとKavli IPMUが、2016年より毎年開催しているものです。今年は、起源に迫るという根源的な問いを通じて最先端サイエンスと芸術学の対話を試みました。
最初の講演は、杉山直 Kavli IPMU 主任研究者/名古屋大教授による「宇宙の始まりに迫る」でした。宇宙の中に在る私たちは、どこから来て、どこへ向かうのか。ゴーギャンの引用から出発した宇宙138億年の歴史を眺める旅。杉山教授は、実際に観測されたデータや理論シミュレーションに基づいて現在わかっている宇宙の始まりを丁寧に解説されました。
宇宙138億年の歴史を40分で解説する杉山直 Kavli IPMU 主任研究者/名古屋大教授
続いて、ELSIからは井田茂副所長・教授による講演「地球外生命~地球中心主義からの解放-系外惑星、氷衛星~」。地球の起源・生命をテーマに、杉山先生による宇宙の科学と次に続く伊藤先生による身体の科学をつなげました。井田教授は地球中心主義からの解放から生命と地球の共進化、氷衛星について語りました。
各講演の位置付けを分かりやすく説明する井田茂副所長・教授
最後の講演は伊藤亜紗東工大准教授による「かたちが生まれるとき~芸術学から考えるリズムと身体~」。芸術学と身体論を切り口にリズムの「乗っとる」力について語っていただきました。伊藤准教授は、ピカソの絵の書き方を例に挙げ、創造のプロセスがパターンと混沌の繰り返しであり躍動感を伴うことを、芸術家とその作品を紹介しながら解説する様子は観客を引き込みました。
リズムと創造について語る伊藤亜紗准教授
三講演を振り返っての鼎談「起源を問うとはどういうことか」では、伊藤准教授が話題提供したインスピレーションの源泉について、杉山教授・井田教授が実際の研究生活と絡めて語りました。また、人類の宇宙観がどう変わってきたか追った後で、講師三名が人間の認知そのものについて真剣に尋ね合いました。
3講演を振り返る鼎談
その後、来場者と講師の懇談会が別室にて行われました。大勢の来場者が講師をぐるりと取り囲み、講演への質問や日頃疑問に思っていることを時間いっぱいぶつけました。
講師を囲むティータイムとなる懇談会
本講演会は定員を大幅に超える約500名の申し込みがあり、抽選となりました。人文科学・芸術に関心のある約60名を含む300超の来場者が会場を埋尽くし、知的好奇心溢れる講演会となりました。
来場された方々からは
「専門の異なる先生方がそれぞれの視点から同じテーマの話をされているのを聞いて少し不思議な感じで面白いと思いました。」
「学問すべては起源というテーマでつながりうつるものだということに気づいた。」
「人間の外へ問いをつないで、最終的に人間の存在に気づかされる内容でした。」
などたくさんのコメントをいただきました。
皆様、ご来場ありがとうございました。