亀谷将史研究員らの研究成果が発表されました。
論文タイトル:"Nitrate reductases in Hydrogenobacter thermophilus with evolutionarily ancient features: distinctive localization and electron transfer"
この論文成果は、Molecular Microbiology誌に掲載されます(2017年7月27日オンライン公開)。

窒素は全生物普遍的に生体を構成する主要元素の一つであり、またエネルギー源としても多くの生物で利用されています。その代謝の進化的起源の解明のため本研究では、原始的生命の性質を色濃く残す細菌Hydrogenobacter thermophilusを研究材料に用い、窒素代謝の初発反応として硝酸を還元する酵素の存在・性状を明らかにしました。その性質はこれまで一般的な細菌で知られていたものと大きく異なり、多くの現存細菌に比べて効率の低いエネルギー生産機構を原始生命が有していたこと、また「鉄硫黄クラスター」と呼ばれる構造を持つ原始的タンパク質(フェレドキシン)が電子伝達体として広範な代謝系で用いられていたことが示唆されました。これらの発見は、原始生命の代謝およびその進化過程を明らかにする知見となると期待されます。

20170731 MKameya

掲載誌: Molecular Microbiology
論文タイトル : Nitrate reductases in Hydrogenobacter thermophilus with evolutionarily ancient features: distinctive localization and electron transfer
著者: Masafumi Kameya1,2, Haruna Kanbe1, Yasuo Igarashi1, Hiroyuki Arai1, and Masaharu Ishii1
所属: 1 Department of Biotechnology, The University of Tokyo, Japan and
Earth-Life Science Institute, Tokyo Institute of Technology, Japan
DOI :
オンライン公開
27 July, 2017

ELSI 研究者情報|亀谷 将史